その他の肝臓疾患


門脈圧亢進症

門脈圧亢進症とは何らかの原因で肝臓を流れる静脈の血流が悪くなり、門脈の血力が異常に高くなる症状の総称です。

門脈は腸から肝臓へつながる大静脈で、通常であれば腸で吸収された栄養素や毒素などはこれを通って肝臓で分解、合成、貯蔵された後、下大静脈より全身へ送られます。ところが、肝硬変など何らかの理由でこの流れがせき止められると、門脈圧が高くなり、血液は肝臓を通らずに他の静脈へ流れようとし、体循環に直接つながる側副血行路と呼ばれる道がつくられます。この場合には、本来肝臓で分解されるべき有害物質が、そのまま体内に流れることとなります。

この側副血行路が食道の下付近(左胃静脈)につくられると、静脈がはれ、食道・胃静脈瘤ができます。この静脈瘤は出血しやすく、ときに大量になることがあるため注意が必要です。

側副血行路は、また、直腸(下直腸静脈)やへそ周辺(臍静脈)でつくられることもあります。

また、脾臓は脾静脈から門脈に通じているため、門脈圧が高くなると脾臓に逆流し、はれる場合もあります。

門脈圧亢進の原因となるものとして、肝硬変、肝外門脈閉塞症、バッド・キアリ症候群、日本住血吸虫症などがあげられます。日本の症例では肝硬変を原因とするものが約90%です。

治療は検査により原因となる病気を特定した上で、門脈圧を下げることと門脈圧亢進症での症状を抑えることとなります。

門脈圧を下げるためには、降圧薬の投与や門脈から直接肝静脈にバイパスをつなぐシャント手術などがあります。

門脈圧亢進症の症状に対しては、静脈瘤からの出血予防がおもなもので、食道静脈瘤に対しては、内視鏡によって静脈瘤に硬化剤を注入する内視鏡的効果療法や静脈瘤にゴムバンドをつけて壊死させる静脈瘤結紮法などがあります。また、胃静脈瘤に対しては、静脈瘤の出口を風船で閉じ、そこから硬化剤を注入するバルーン下逆行性経静脈的閉栓術などがなどが用いられます。